とんびに襲われ未遂事件
2008 / 07 / 07 ( Mon )
渡良瀬遊水地というところへ、録音の下見に行ってみました。

ここは(たしか)埼玉・群馬・茨城・栃木の四県にまたがる広大な湿原。公害史上に悪名高い足尾銅山から流出した鉱毒対策のために作られた遊水池です。流域の歴史に目を向けると、谷中湖と呼ばれる第一遊水池に沈められた谷中村のことも含めて、どうしても日本近代史の暗部、我々の先祖が関わった恥ずかしい失敗と、今に続くその隠蔽の事実に触れざるを得ない場所でもあります。

渡良瀬川は一昨年、藤岡からまさにこの遊水池の横を抜けて利根川に合流するまでの区間をカヌーで下りました。しかし陸地から内部に入りそのほぼ全域を見て回ったのは今回が初めて。山手線の内側の約半分…と表現される、この広い湿地ならば比較的近場でそれなりのナマロクができるのではないか…と常々思っていました。

結果から先に言えば、残念ながらNG。
これだけの面積を誇りながら、地面の起伏がなく真っ平らな広野ゆえ、2〜3km先を走る道路のノイズが遊水池にまんべんなく行き渡っているようでした。辛うじて北から北東の方面はその騒音が弱い…と分かりましたが、それも他の方角に較べればマシ…という程度。深夜から明け方にかけてさえゴーっという低域ノイズが葦原に充満していました。

さて。こうした車ノイズや当日行われていた除草作業、さらに風が少々強かったこともあって、早々に録音は断念。機材を片づけて夕暮れを迎えました。残日が西の空を染め、風が見渡す限りの葦を揺らす、ちょっと良い風景です。

watarase.jpg

ところが、蚊に喰われつつ携帯を引っ張り出し、友人に「本日の録音は収穫無し」と報告Mailを打っていたまさにその時。頭上に気配を感じました。ハッとして見上げると三羽のタカ類が旋回。時刻は19:30。あたりは暗く、空の残照をバックに真っ黒なシルエットだけが見えました。尾の先端真ん中はくぼんでおらず平らに揃っていたのですが、私に識別など出来るはずもなく、三羽ということもあって恐らくはトビ(とんび)だろうと思いました。ぎょっとしたのは次第に高度を落として私のアタマの上10mくらいのところを回り始めたこと。

襲われる…と思ったのと、片づけてしまった機材を引っ張り出し、マイクとケーブルをつないだのがほぼ同時。あわててマイクを空に向けました。

身の回りの荷物は全てテントに入れてしまっていたので、攫われるものは何もないことをきょろきょろと確認しつつも、内心はかなりビクビクでした。それほど近かった。でもこれだけの近距離で鳴いてくれればかなり鮮明な「ぴーひょろひょろ…」が録れるのではないか、と期待しつつ…。

鳴いた!ばっちり鳴いてくれた!

のですが…。
頭上を舞うトビ(?)こんな声を出したのです。

(click↓して再生=11秒)
とんびの鳴き声?

(二声目はマイクが風に吹かれてボコボコ云ってますが…)音だけ聴いたら犬の甘えた声そのもの。これは「警戒・威嚇」の鳴き声なのでしょうか?そもそもトビってこういう鳴きかたをするのでしょうか?

今回、録音ロケハンとしては失敗でしたが、水際でダイサギとササゴイという美しい凸凹コンビが並んで水面をニラみ、魚を獲る様子がゆっくり観られましたし、夜中の二時過ぎでさえオオヨシキリは結構さえずっている…ということをこの耳で聴くことができました。また、何の鳥だか全然分からないのですがタカ類の飛翔もたくさん眼にして、楽しいひとときでした。

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