セッカの鳴き声--中低域の補正--
2008 / 06 / 07 ( Sat )
前回、セッカの鳴き声録音から低音ノイズを除去。しかしそのせいでヘッドフォンから漏れてくる音のようなシャカシャカ・サウンドになっちゃいました。

ローカット(低域を切ること)でノイズを消すという手法は随分古くから行われていたようです。たとえば70年代に出版された、アマチュア生録マニア向けのHowto本にもすでにこのテクニックが出てきます。さらに、

「ノイズをカットしただけじゃ不十分だヨ。ここにせせらぎやさざ波の音を加えてみよう。グッとゴキゲンなサウンドになること間違いなし!」

などとも。雑音の除去で失われた低音を補う必要性についても触れられているわけです。ここで、あらたに加えるべき音として「せせらぎ・さざ波」が推奨されているのは、ヒーリング効果がアップすること以外にも理由がありそうです。

都市部近くで録った音というのは、低域をどれだけカットしても高い音域に「シャーっ」というノイズが残ってしまう。こういう時、小川の流れや静かな波の音は、うまい具合にこの「シャーっ」の部分をごまかしてくれる便利な音素材なんでしょう。

ただ、清流や波の音など別の具体音を持ってきて足す…というのは、もはや積極的な「演出」の分野に踏み込んでいます。失われた音域を補正し帯域バランスを整える作業としては明らかにやりすぎの感が否めません。

では何を足すか…。このような「補正用のサウンド」としては、セミや秋の虫が鳴いてしまっているものはもちろんですが、他の鳥が鳴いている録音も使いにくいと感じます。私のように野鳥の知識に浅い者だと、
「この鳥がこの季節にこの鳥の近くで鳴いているはずはない…」
という非常識な音を組み上げてしまう危険性もあるからです。

というわけで個人的にはこういう時、冬山で録った音などをMIXしています。できるだけ静かな、しかも中低域に適度な「サーっ」という自然のグランドノイズを含んだ音で、欠落した帯域を補えないか…と。

今回は、セッカ録音と同じ季節(ほぼ同じ時間帯)に録った比較的静かな里山の音を使ってみました。小さなスピーカーでも分かり易いように大きめのレベルで足しています。前回アップしたサンプルの冒頭部分(=録ったままの音)と、下のファイルの後半部分とを聴き較べてみてください。いかがでしょうか…。

(click↓して再生=16秒)
セッカの鳴き声_中低域の補正

いずれにせよ、あくまでもノイズレスな録り音を目指すことこそがフィールドレコーディングの正道。
撮影と録音を同時に行わねばならない、条件の厳しいロケ現場でもない限り、ポストプロダクションでのローカットや音質補正はやむえず行う小細工に過ぎない…と思っています。
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