D50の風防試案
2008 / 07 / 13 ( Sun )
SONY PCM-D50は内蔵マイクが「吹かれ」にとても弱い。それだけの理由でもないのですが、野外録音ではほぼ100%外部マイクで録っています。

でも、風に悩まされずこれ一台でフィールドレコーディングが出来れば、格段に軽装で、もっと気軽に録れるわけです。

導入してすぐの頃「D50をカゴに入れる」という方法を試してみたので、レポートしてみます。

操作性ゼロですが、とにかく風を防ぎたい…ということを優先した、虫かご簡易風防システム。

mushikago0.jpg mushikago1.jpg mushikago2.jpg

ヘッドフォンやリモコンのケーブルはスライド窓から外に出せます。

虫かごそのものは目が粗いので、ほとんど風を遮りません。ですが、こうした「箱」に入れることにはちょっと重要な意味もあります。「被せるモノ」とマイク部分との間にクリアランスを確保する…つまり網袋やスポンジ、毛むくじゃらのジャマーをマイクに直接接触させないことで、音質変化をかなり抑えることができるからです。

この二段階遮風でもたらされる効果は、まだ中の下くらい。これをもう一枚大きな袋に入れることでより一層、風に強くなります。写真がないのですが、ウレタン素材のもの(デジカメや携帯のソフトケースに使われているようなマテリアル。)はかなり強力で、ちょっとした突風でも「吹かれ」ませんでした。ただ、当然音質はコモりますので後にHiを上げる補正が必要です。ガーゼの袋、モヘア素材の毛糸で編んだカバーなどなど、機会をみて色々と試してみようと思っています。

「風防の常識」なのかもしれなのですが、風を遮るだけでなく「広い面」で受けない、風圧を分散する…など、形状による効果もタイヘン重要だということが分かってきたので、操作性も含めてまだまだ改善の余地だらけ。

このチープな方法にメリットというものがあるとすれば、虫かごは荷物満載のリュックなどでD50を運ぶ際の保護ケース、網袋はケーブル収納用などに使えて
「風防分のかさばる荷物が増えない」
ということでしょうか…。

虫かご、網袋ともに旅先のダイソーで購入。210円。

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SONY PCM-D50レビュー3
2008 / 05 / 24 ( Sat )
「プリレコーディング機能」が予想以上に便利でした。設定でこれをONにしておくと録音スタートより5秒さかのぼってレコーディングできる…というタイムマシンのようなアイディア。いったいどうやって…??とびっくりする機能ですが、要するに録音待機状態にした時点からD50は音を録り始めていて、Recスタートするとその5秒分前からメモリに記録されるという仕組み。

最近では交通事故を録画するための車載用ドライブレコーダーなどにも採用されているこの仕掛け、分かってしまえばコロンブスのエッグなのですけれども、前回に触れた革新的リミッター(的)システムといい、プリレコーディング機能といい、こういうことを思いつくアタマのイイ人がいるんだな〜とソンケーの念でいっぱいです。

このPreRec機能はあまり実用的ではない…と云う人もいるようですが、恐らく内蔵マイクで録音してみての感想ではないでしょうか。これだと5秒目には本体のスタートボタンを押す「ボコンっ!」という音が必ず、それもかなり大きく入りますし、その前後の手持ちグリップノイズもガサガサと収録されてしまいます。あくまでもオプションのリモコンを使用するか外部マイクを使う時にのみ真価を発揮する機能だと思います。

あまり良い録音ではありませんが、サンプルとしてウグイスの鳴き声を。
「ホーホケキョ」の声を聴いてから、どれどれ今のは良い声だったな…と、おもむろに録音スタートすればきちんと録れる、という一例です。ご参考までに〜。

(click↓して再生=25秒)
手持ちガンマイクを鳥に向けてヘッドフォンで音を聴きながら録音待機→鳴いたらRecスタート。

音質に関して私は24bit/48kHzというフォーマットで録っています。このクオリティだと内蔵4GBのメモリに約3時間50分の録音が可能。経験的にDATのテープ本数換算でいっても、一回のお出かけレコーディングには十分すぎる容量…と思っていました。ところがどっこい。

どうやらこれまでのDATレコーディングだと、消費する電池の本数と交換の手間が、トータルの録音量におのずからセーブをかけていたようなのです。D50はほとんどこの電池消耗と交換の心配をしなくて良いので、とにかく録りまくってしまう。4GBあったメモリもあっという間に残り数分…。

極端な長回しをしたわけでもなく、一番長いテイクで十数分ほど。乾電池を一度も交換することなく130Trackも録音してしまったことに気づき、先行きに大きな不安がむくむくと沸き上がって参りました。大容量のHDDが必要です…。それもバックアップ用のものとあわせて二台…。

(SONY推奨という意味で)D50に挿せる外部メモリは以下の二つ。

○メモリースティックPRO-HGデュオ
○メモリースティックPROデュオ(High Speed)

シェアが著しく低いメモリースティックは値段が高い。じゃあせめて互換品を使おう…とすると、SONY純正のメモリースティック以外では起動のたびに「UNKNOWN MEDIA」と不平を言うとのこと。

この件についてはたとえばこちらのサイト→「小劇団の音響効果」にレポートがあります。
(この方のHPは舞台音響の実践論と実用的な機材レビューに満ちていて圧巻です。)

それにしてもサードパーティー製のメディアをハネようとするということは、メモリースティックには純正品識別ID情報が埋め込まれているということでしょうか。だとしたらSONYらしい、ちょっと感心しないやり方ですね〜。互換性を持たせない代わりに長く確実なサポートを提供する業務用機のあり方とはワケが違うと思うのですが…。

しかしそれはさておき。
個人的にPCM-D50がとても気に入りました。

二年ほど前になりますか、先行機種のPCM-D1の登場はホントーに衝撃的でした。ただ、20万円を超える価格ながら本格録音実践派には少々中途半端な仕様で、ビミョーに「モノマニア」向けの匂いが漂っていたこの製品が果たしてどのくらい売れたか、どれほどの儲けをSONYにもたらしたかは分かりません。でもまったくもって技術・デザインスピリットと開発魂のカタマリのような新製品で久しぶりにドキドキしました。
SONY PCM-D1
SONY PCM-D1

そして当然この歴史に残る名機=D1の開発に注がれた情熱と発売後のリサーチ/フィードバックがあってこその後継機D50なのでしょう。実際に使ってみてPCM-D50は、こと生録に関してバリバリに使えるポータブル機種だという手応えを強く感じました。

実売5万円ちょっとの価格でこのデザイン・堅牢な筐体・要所を押さえた機能・革新的新技術の採用・使い勝手の良い操作系…どれをとっても生録機の老舗SONYならではのエスプリとプライドが感じられます。

D50
SONY PCM-D50

ですからD50は世界中で売れて欲しい。そしてD1の分も稼いでもらって、SONYがこのジャンルの周辺機器をもうほんの少しで良いから充実させてくれると嬉しいな、と思います。70年代に(おそらく電機メーカー各社が仕掛けて)日本のヤングなカルチャーを席巻したという「生録ブーム」再来、とまではいかないにしても。

三回に渡る、PCM-D50を使ってみての1stインプレッション、まずはここまで。


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SONY PCM-D50レビュー2
2008 / 05 / 23 ( Fri )
PCM-D50のレビューつづき。

感度良好のPCM-D50は、言うまでもなく内蔵マイクを使っての手持ち録音は無理。どこかに置くか三脚やスタンドの使用が必要です。

また、上面パネルの操作性を犠牲にせず内蔵マイクに徹底的な防風対策を施すのはムズカシイようなので、よほどカンペキな無風状態でない限り、本格的な野外録音には外部マイクの使用が現実的だと思います。

さて。
これは購入前から期待していたことなのですが、電池の保ちの良さにはやはり驚きました。一日に数時間録音&その倍くらいの録音待機状態、おまけにたびたびの確認再生…という連日の使用で、電池残量のインジケーターが点滅し始めたのが四日目!

私は録音時必ずヘッドフォンでモニターしているので、このモニター録音をやめればもっと長く使えることになります。そういえば、深夜の録音では液晶のライトも一時間以上点灯させていました。すごい…。

D50_backlight.jpg


同じSONYのDATウォークマンTCD-D8では液晶のバックライトを点灯させると「ピーっ」というノイズが発生、録音にもこの音が乗ってしまっていたのですが、D50ではこのような不具合もありません。

本体右横の電源を入れて、メモリを読みにいって起動完了までが約9秒。充分な速さだと思います。10分間操作をしないと自動で低消費電力モードになり、画面表示がOFFになりますが、この状態で待機させておけば瞬時に立ち上がります。これだけ電池の保ちが良いことを考えれば、こまめに電源を落とさずともこのスリープモードにしておいて問題ないでしょう。欲を言えば手動でスリープにすることができないのは惜しい。ストップボタン長押しでスリープ…という機能はあっても良いと思います。

一つ気になったのは、外部マイクのステレオミニプラグをD50のジャックに挿すと「プラグインパワーを供給するかYes/No?」を毎回聞いてくること。この設定はメニューからすでに済ませているにも関わらず毎回…。ただしD50の電源をONにする前にマイクを接続してしまえば、この煩わしさは回避できます。

D50は独自のリミッター機能も画期的。
これは従来のコンプレッサー/リミッターとはまったく考え方とプロセスが違うのです。D50は使用者が設定した入力レベルでの録音と同時に、それより12dB低いゲインでも音を録っていて、ピークオーバーした際にはその部分を-12dB録音のものと差し替える…というもの。感動のあまり涙の滴がPCM-D50を濡らしてやみません…。

涙といえばそうそう、書き忘れていました。内蔵マイクで録る場合は風だけでなく、雨にも注意が必要です。土砂降りは問題外としても、D50は単体マイクに較べて上面の面積が広いわけですから、ぽつんぽつんという雨粒が本体に当りやすく、これが大きなノイズになります。私はとりあえず折り重ねた柔らかい布を乗せて急場をしのぎました。

ちなみに内蔵マイクで録音中、雨粒が本体上面に当たるとこのくらいのノイズになります。

(click↓して再生=15秒)
さてボディに当たった雨の滴は何粒?

あ、こうしてステレオで聴くと雨の滴が本体の右端に落ちた、とか今度は左端に当たった…とかが分かって面白いですね〜。なぬ、そんなに面白くない?

…。

もう一回くらいこのレビューつづく…。


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SONY PCM-D50レビュー1
2008 / 05 / 22 ( Thu )
長年フィールドレコーディングに使ってきたDAT(Digital Audio Tape)。

この磁気テープ式の録音メディアはCDとさほど変わらぬ頃に開発された、CDを超えるスペックのデジタル規格でありながら、なぜか落ち着いた音質でとても好きでした。というか今でも好きです。当初ハイエンドのオーディオマニアに強く支持されながらも、民生機としてはほとんど流通しなかったのですが、業務用としては15年ほど揺るぎない2chのマスターレコーダーの地位を保ち続けてきました。

しかし。このDAT、数年前に各メーカーともにハードウェアは製造中止。テープの供給もいつまで続くか分かりません。残念です。

で、使い始めたのがSONYのPCM-D50という機種。いわゆるメモリーレコーダーです。

もちろん、4ch以上の同時録音が出来たり、マイクケーブルのキャノンプラグをそのまま挿せるに越したことはないのですが、野外録音においてはコンパクトis most importantだと思っています。ただでさえマイク数本に三脚、長いケーブル。これに加えてでっかいレコーダーには専用バッテリーだとか乾電池8本必要、となったら…

「ま、今回はモロモロの状況を考えると、あまり良い音が録れるとも思えないからわざわざ機材担いで出かけるまでもないかな…」

ということになると思うのです。私のような横着者は特に。
フィールドレコーディスト(?)たるもの、チャンスがあったら「飛び出せ青春!」という勢いで音を録りに出かけなければなりません。(自戒の念をこめて…。)

さて。(文脈のつながりもへったくれもありませんが…。)
このSONY PCM-D50の使用感についてレポートしておきます。用途はほぼ100%野外録音、それも音楽以外の音を対象とした生録という条件で。

内蔵マイクの音質についてはあちこちで言われているように堅め。私もそう感じました。しかし、そのフラットな周波数特性はむしろ評価すべき点。音楽収録用のスタジオマイクと違って、デジタルのフィールドレコーダーが音に「色づけする」というのはナンセンスじゃないかな…と個人的には思うので。

マイクカプセルを余計なモノで覆っていないのかもしれません。つまりフラットな特性も、この「カプセルできるだけむき出し設計」によるものかな、と感じました。

あと、内蔵マイクの感度が「とても」高いのです。こういう特徴が相まってか、風による「吹かれ」にとても弱い…。裸のままでの内蔵マイクを使った野外録音となると、現実的には「まったく不可能」といって良いと思います。防風対策は必須。

D50withjammer.jpg


二重にガーゼをかぶせた上にモジャモジャのウィンドジャマー(風防)を深々と装着しても、通過する貨物列車の風圧がかかるとこんなカンジのNG録音となりました。ご参考までに。

EH500_36.jpg


(click↓して再生=30秒)
越河駅にてEH500-36通過

ファイルの中頃、そして貨車の通過後にぼーぼー云っているのが確認できると思います。

この録音、音が綺麗に右から左へ抜けておらず、ステレオ感の点でも失敗しているのですが、そちらは私の腕が悪いせいでして。

音源からの距離に応じたステレオマイクの角度設定についてはまたいずれ。

レビューの項、つづく。


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