こんな近くに…。
2008 / 08 / 05 ( Tue ) 土曜、日曜と一歩も家から出なかったので、昨晩遅くに自転車で散歩…というより徘徊。今の時期、虫の鳴き声はどんなカンジだろう…とレコーダーも持って出かけました。
予想に反して虫はあまり鳴いておらず。近所を一回りして帰ることにしました。 東京のベッドタウンとして拓けて久しいこの街にも、旧家の立ち並ぶ一画があります。どの家屋も豪農といった風格で、広い敷地に手入れの行き届いた庭木。長屋門のある屋敷さえあって、これが現役の住宅なのですから驚きです。 そんな鬱蒼とした屋敷林を抜ける、暗く細い急坂を登り切って一息ついたまさにその時。 頭上にふわっと何かが飛び立ちました。大きさからすぐにフクロウ!と知れました。 そーっと自転車を降り、地面にしゃがみ込んで見ていると、二本の電柱と二本の大樹を順繰りに渡りつつ、向こうもこちらの様子を伺っているようです。羽音をまったく立てずに飛ぶ姿は暗闇の中でさえ神々しい。ポケットにネズミが入っていたら、今すぐこの鎮守の鳥に供えたいと思いました。あいにく持ち合わせのネズミが無い。寺門の薄暗い電灯に時折光る目が見えています。息を潜めて10分…20分…と経過。 AM2:50、なんと鳴いてくれたのです。 (click↓して再生=29秒) この鳴き声はたしか…。 幼鳥…!?真っ黒なシルエットしか見えませんが、まだ全身毛玉のようにモコモコの幼羽を纏っているのかもしれません。5分ほど断続的に、そして2分ほど連続して鳴いて、それから徐々に遠ざかっていきました。 帰宅してすぐに『日本野鳥大鑑鳴き声420』(小学館)のCDで鳴き声を確認。ああ、やっぱり…。故・蒲谷鶴彦先生が41年前に録音なさった鳴き声とたぶん同じ。ただ今回録れた声の方がかなりハスキーに聞こえます。 蒲谷先生は1967年の7月10日に奥入瀬でこの鳴き声に出くわし、何の鳥だか分からぬままお録りになったのです。それから五年の後、軽井沢の茶店で飼育下のフクロウの幼鳥がまさに奥入瀬のあの鳴き声で鳴いたのをお聴きになって初めて「キーッ、キーッ」という声の主が特定できたんだそうです。これについては何度も繰り返し聴いた、先生と松田道生さんの対談録音の中でも触れられていて、とても感銘を受けたエピソードの一つだったのでした。 サイクルメーターで見ると我が家からちょうど1kmの雑木林。まさかこんな近所で憧れの声に出逢えるとは…。マチガイナク、蒲谷先生のご加護によるもの。 目頭が熱いです。 |
山の中・沼・真っ暗闇の中から咆吼…。
2008 / 07 / 17 ( Thu ) 先月、カエルの鳴き声を録ろうと、福島の森の中、平伏沼(へぶすぬま)というところで一晩を過ごしました。
現地到着が夜の八時になってしまい、下見も何もあったものではなく、いきなり真っ暗闇の森を抜けて真っ暗闇の沼のほとりにたどり着きました。狙いのカエル以外に少なくとも二種。よく鳴いています。しかし道がぬかるみ、水際がよく見えません。沼にだけは落ちたくないな…と、ビクビクしつつ場所を決定。マイクをセットして、あとは翌朝日が昇るまで生録三昧です。 ![]() <沼までの山道、昼と夜> カエルを驚かさぬようヘッドライトも消灯していたため、目の前に広がっている(と思われる)沼もさることながら、背後左右の森がどうしても気になります。ガサっと音がするたびにドキッ。 さて。そんな繰り返しにもちょっとだけ慣れてきた頃、いきなり「その咆吼」は飛び出しました。小心者の私が真っ暗闇の中でこの声を聴いて、どれほど肝を冷やしたか…ご推察ください。その時の印象では「あ、もうすぐこっちに飛び出してくる、なんかわかんないもんに噛みつかれる…」というカンジ。身体がすくみました。 (click↓して再生=16秒) だぎゃ〜っ…ぎゃっぎょっぎょっぎょっぎょ…。 結局、零時前と二時半頃に二回、長々とこの叫び声を聴いたものの、無事(?)でした。昨年、和歌山の山中で鹿に至近距離から「ビーっ!」と威嚇され、腰を抜かしたことがありますが声がまったく違います。なんだろう…。 平伏沼にはカエルを見守り保護している番人さんがいらっしゃいます。翌日の昼頃、このおじさんに会いました。 沼に至る道沿いで、太い枝が半ば折れて落ちてきそうになっていて、あれをどうやって伐るか…などの話をしている時、ふと昨晩のことを思い出したので、録った音をヘッドフォンでおじさんに聴いて貰いました。 「聴いたことねぇな…。タヌキかな。」 「タヌキって鳴くんですか?」 「タヌキ、鳴ぐかな?鳴がねぇだろうな。ははは。」 というやりとり。 そして「ここいらに鹿はいねぇもんな…。」とのこと。 じゃ、あの叫び声はいったい…。 ![]() <昼間の沼。さーっと霧が降りてくると、とたんにカエルが鳴き出す…。> 実は後日、この謎の声解決。野鳥研究家の松田道生さんから「フクロウの雌の鳴き声だろう」とのご教示をいただいたのです。松田さんが開設していらっしゃる、鳥の鳴き声と録音に関するサイトに、まさに上掲の音とそっくりな鳴き声がアップされています。こちらは日光在住の方が2006年10月に録音なさったもの。 松田道生さんのサイト→「syrinx」 (Topページから→collection→謎の鳥→謎の鳥-17) 沼の番人=カエルの保護者おじさんはとても物静かで優しそうな方でした。お目当てのカエルは深い霧のせいか昼間も鳴いていたので、またまたマイクをセット。でもおじさんが居るので録音はちょっと無理かな…と思っていたのです。ところが、丸太で作った番小屋に入ったおじさん、まったく音をたてない…。寝てるのかな?と思って、開け放たれた戸から覗くと、小さな小さな音でラジオを聴いています。私を気遣ってくださったのでしょうか。とにかくこれほど「静かな人」はまずみたことがなく、そのことがとても印象に残っています。 そうそう…。トランジスタラジオから小さく小さく聞こえてきたのは「アルプスの少女ハイジ」のテーマ曲。なんだかそれが妙におじさんに似合っていて微笑ましく思いました。 昨年、ハイジ役の大ベテラン声優=杉山佳寿子(すぎやまかずこ)さんと、短編アニメーションのお仕事でご一緒する縁に恵まれたのです。残念ながら私は音楽とSEのミックスダウンに仕上げ当日まで追いまくられ、科白録りには立ち会えなかったものの、そんなハイジつながりも含めて、 「低い声で鳴くカエル・大きな声で叫ぶ雌フクロウ・静かなおじさん」 が記憶に残る、良い音の旅となりました。 |
とんびに襲われ未遂事件
2008 / 07 / 07 ( Mon ) 渡良瀬遊水地というところへ、録音の下見に行ってみました。
ここは(たしか)埼玉・群馬・茨城・栃木の四県にまたがる広大な湿原。公害史上に悪名高い足尾銅山から流出した鉱毒対策のために作られた遊水池です。流域の歴史に目を向けると、谷中湖と呼ばれる第一遊水池に沈められた谷中村のことも含めて、どうしても日本近代史の暗部、我々の先祖が関わった恥ずかしい失敗と、今に続くその隠蔽の事実に触れざるを得ない場所でもあります。 渡良瀬川は一昨年、藤岡からまさにこの遊水池の横を抜けて利根川に合流するまでの区間をカヌーで下りました。しかし陸地から内部に入りそのほぼ全域を見て回ったのは今回が初めて。山手線の内側の約半分…と表現される、この広い湿地ならば比較的近場でそれなりのナマロクができるのではないか…と常々思っていました。 結果から先に言えば、残念ながらNG。 これだけの面積を誇りながら、地面の起伏がなく真っ平らな広野ゆえ、2〜3km先を走る道路のノイズが遊水池にまんべんなく行き渡っているようでした。辛うじて北から北東の方面はその騒音が弱い…と分かりましたが、それも他の方角に較べればマシ…という程度。深夜から明け方にかけてさえゴーっという低域ノイズが葦原に充満していました。 さて。こうした車ノイズや当日行われていた除草作業、さらに風が少々強かったこともあって、早々に録音は断念。機材を片づけて夕暮れを迎えました。残日が西の空を染め、風が見渡す限りの葦を揺らす、ちょっと良い風景です。 ![]() ところが、蚊に喰われつつ携帯を引っ張り出し、友人に「本日の録音は収穫無し」と報告Mailを打っていたまさにその時。頭上に気配を感じました。ハッとして見上げると三羽のタカ類が旋回。時刻は19:30。あたりは暗く、空の残照をバックに真っ黒なシルエットだけが見えました。尾の先端真ん中はくぼんでおらず平らに揃っていたのですが、私に識別など出来るはずもなく、三羽ということもあって恐らくはトビ(とんび)だろうと思いました。ぎょっとしたのは次第に高度を落として私のアタマの上10mくらいのところを回り始めたこと。 襲われる…と思ったのと、片づけてしまった機材を引っ張り出し、マイクとケーブルをつないだのがほぼ同時。あわててマイクを空に向けました。 身の回りの荷物は全てテントに入れてしまっていたので、攫われるものは何もないことをきょろきょろと確認しつつも、内心はかなりビクビクでした。それほど近かった。でもこれだけの近距離で鳴いてくれればかなり鮮明な「ぴーひょろひょろ…」が録れるのではないか、と期待しつつ…。 鳴いた!ばっちり鳴いてくれた! のですが…。 頭上を舞うトビ(?)こんな声を出したのです。 (click↓して再生=11秒) とんびの鳴き声? (二声目はマイクが風に吹かれてボコボコ云ってますが…)音だけ聴いたら犬の甘えた声そのもの。これは「警戒・威嚇」の鳴き声なのでしょうか?そもそもトビってこういう鳴きかたをするのでしょうか? 今回、録音ロケハンとしては失敗でしたが、水際でダイサギとササゴイという美しい凸凹コンビが並んで水面をニラみ、魚を獲る様子がゆっくり観られましたし、夜中の二時過ぎでさえオオヨシキリは結構さえずっている…ということをこの耳で聴くことができました。また、何の鳥だか全然分からないのですがタカ類の飛翔もたくさん眼にして、楽しいひとときでした。 |
スズメの交尾
2008 / 06 / 01 ( Sun ) 隣家の屋根にてスズメが交尾しておりました。
とても小さく優しげな声で「口説く」のですね…。初めて聴きました。 最初に強く(というか普通の声量で)鳴いて、そのあと小さく「ぴぴぴぴっ…」と言う声になったところが交尾直前です。もっと綺麗に録れれば良かったのですが。 (click↓して再生=22秒) 録られているとも知らずに…。 ウグイスの一回目の鳴き声の前後でささやいて、遠くをバイクが通過するあたりでメスの上にちょこんと乗っかって、それで二回目の「ホーホケキョ」のあたりではもう終わっている…というカンジ。何度も、この乗ったり降りたりを繰り返していました。 それにしてもウグイスの声は大きい。位置関係で云うと、ウグイスはスズメの4〜50m奥で鳴いているというのに…。ガンマイクで録ったせいもあります。 ガンマイクの功罪についてはまたいずれ機会をあらためて〜。 |
ムクドリの地震予知!?
2008 / 05 / 26 ( Mon ) 徹夜明けの今朝。
ベランダのサッシを開け放つと、いつにも増して鳥たちが賑やか。 ウチから坂を下りて国道に出るとそこには(東京)日本橋から20kmちょっと、という標識があって、まあ一応首都圏=ベッドタウンです。しかし割と静かな住宅街。おまけに真ん前のお宅の庭が公園のように広く、手入れの行き届いた樹木の緑が鮮やかで年中鳥だらけなのです。 で、今朝もぼーっとしたアタマでマイクをベランダの外に向けてセットして、ぼんやりと録音を始めました。気持ちいいなー、でも眠いなーと。 ヘッドフォンを通して雀、カラス、ウグイス、シジュウカラの鳴き声が聞こえました。しばらくするとムクドリが隣家の屋根あたりにやってきたようですが、いったんレコーダーを回してしまうと身じろぎ一つ出来ないので、私の座っている蒲団の上からは姿が見えません。 すると「キュルっ、キュルルっ」と鳴いていたムクドリが、突然何かに警戒しているように「ギャっ、ギャっ」とその鳴き声を変えたのです。あ、クリアな鳴き声が録れたな〜と、ぼけーっとしたアタマで喜んでいると、じきに家がガタガタ鳴り始めました。地震だ…。(*注) 後に録音した音をチェックしていて気がついたのですが、ムクドリの鳴き声「ギャっギャっ」は地震のぴったり1分前から。 渡り鳥などは体内に磁石を持っていると言われます。なかでもムクドリはことさら地磁気に敏感(?)なのだとか。ホントかどうか分かりません。 (こういうのは専門家じゃない人たちの又聞き、孫引きで巷に流布することが多いような気もします…。) ただ、カラス・鳩・ムクドリを強い磁力で撃退するための商品も売られているとは知りませんでした。 今朝、我が家を訪れたムクドリはいち早く地磁気の変化を察知し、一分前の地震予知速報を出してくれたのでしょうか…!? こればっかりは編集して尺を縮めたり分割したら意味ないもんなぁ…。 (FC2ブログは1ファイルの上限サイズが500KB。) ということで少々四苦八苦して…。 モノラル&かなり音質落としてなんとかアップできそうです。 (click↓して再生=1分4秒) けたたましい地震予報士「むく」。 ムクドリはさておき、録音中に地震の音が録れたのは初めてのことなので、それがなにより嬉しいハプニングでした。 (*) 平成20年05月26日04時47分 気象庁地震火山部 発表 26日04時41分頃地震がありました。 震源地は千葉県北西部?(?北緯35.7°、東経140.0°)で震源の 深さは約60km、地震の規模(マグニチュード)は3.5 |







